2022年6月5日

ひろこ
ひろこ
あなたの食の専属パートナー ひろこ です。
ご飯粒を食べ過ぎてしまう原因の一つに、おかずの味付けが濃いことが要因の一つになることがあります。
「薄味」は満足感が低いイメージがあるかもしれません。しかし、食べ過ぎ防止、高血圧対策には一役かってくれます。
今回は、そんな味への順応性について見ていきたいと思います。

はじめに

白飯を主食とし、主菜、副菜、汁物からなる日本の食事様式は室町時代に完成していたといわれています。
食べ方は 、白米と汁や主菜や副菜を交互に食べるとされています。
すなわち 、白飯と汁やおかずを交互にべ 、口の中に残る汁やおかずの味で 、白飯を味付けして食べていると言い換えられます。

おかずの味の濃さ

食べ過ぎの原因は、個人で違います。
もともと食べる量が多い、食間が長く空腹感を強く感じすぎる、ストレスで過食になる、など様々です。

主食を食べ過ぎる原因の一つに、おかずの味が濃いことが原因になる場合があります。
白飯は、塩味をもたず、噛むことで甘味を感じることができる食材です。
よって、味が濃いなと感じたら、味を中和させるために白飯を食べる、といった流れを無意識のうちにおこないます。
そもそも、おかずの味付けが白米での中和を必要としない塩梅であれば、白米を食べ過ぎることは防げます。

味への順応性

現在、味は甘味、塩味、酸味、苦味、うま味の5味が基本とされています。
今回は、食事の味付けで、濃くなりがちな塩味について見ていきます。

塩味への食欲は習慣的なものであり、多量の食塩を摂取した人が低食塩に慣れることは可能であるとされています。
逆に低食塩を摂取している場合は、最初のうちは塩添加物を好まないがやがて慣れてくる、といわれています。

菊池節子らによる「減塩醤油を用いた減塩調理への慣れの評価」

この研究では、食塩嗜好には慣れの現象がみられるとの報告があることから、通常の濃口醤油の半分の食塩含量である減塩醤油を継続使用した場合の低塩に対する慣れの影響について検討しています。
結果は、減塩醤油を用いた減塩調理に対する慣れが見られるまでには、最低でも2週間の継続使用が必要であると結論付けています。

松本らによる「低塩味の慣れに関する考察Ⅰ寮生活する女子学生における低塩味の慣れに関する考察」

寮生活をする女子大学生に0.6%塩分添加清汁、あるいは0.8%塩分添加味噌汁を毎夕食に一品として加え連続10日間の学生の低塩味に慣れるのに要する日数について官能検査による方法で検討しています。
結果は、
①ほぼ10日で低塩味に慣れるようになった、
②低塩味への嗜好の移行は急激なものではなく「薄い」から「やや薄 い」へのように緩やかであった、
③嗜好が定着した後、70日の夏季休暇、20日の冬季休暇中濃い味におかれたとき、低塩味へ復帰するのに要した日数 は,夏期10日,冬季 はただ ちに復帰した、
としている。

ひろこ
ひろこ
この様に、味の濃さへの慣れは確実にあります。食事量を減らしたいなと思ったら、味付けの見直しも選択肢の1つになるのです。
ちなみに、虎ノ門で、弁当販売をしていた時の話。
減量の意向が強かった、男性客のAさん。毎日、通って頂いていました。ベジフルの弁当を食べ始めて2週間を過ぎたころ、「久しぶりにペヤング食べたら味が濃すぎてビックリしました」とのお声を頂きました。
このことからも、1日1食でも、味つけが薄いものを継続的に食べていれば、慣れてくることが分かります。

ついでに

口中調味

白飯とおかずを交互にべ 、口の中に残るおかずの味で 、白飯を味付けして食べることを「口中調味」といいます。
最近は、「口中調味」をする人が少ないそうです。 
口中調味をする人は、嗜好の幅が広く濃厚な味つけも受け入れるそうです。
対して、口中調味をしない人は淡泊な味付けを好んでいるそうです。

塩鮭を選ぶ時

店頭にある塩鮭には、表示のルールがあります。

 ★ 甘口 ・・・ 3%未満の塩分濃度の鮭
 ★ 中辛 ・・・ 3%以上6%未満の塩分濃度の鮭
 ★ 辛口 ・・・ 6%以上10%未満の塩分濃度の鮭

塩分濃度が1%でも3%でも甘口として表示されるので注意が必要です。
また、サケを塩漬けする場合、一匹ずつ姿のまま行うことが多いです。
この手法を取ると、同じ溶液につけていても背・腹・尾部などの部位によって塩分濃度に大きな差がでてしまいます。”
生鮭は、塩などの添加はまったくされていません。
生鮭は味付けが自由であり調理方法に幅があります。
味の濃さを調整したいのなら、生鮭が良さそうですね。

日本の食生活

1959年の国民栄養調査には「日本人の食生活は穀類偏重であり……わが国の場合米食に対する嗜好は、……白米が沢山たべられることによって大きな満足感が得られ 、副食をより多くとることには余り関心を示さない。」と記述されています。
この時期は、高度経済成長とともに、コメの増産が著しくなった時期と重なります。

1967年ころから食生活の西洋化が進み、栄養改善運動が起こりました。
白米偏重の是正が叫ばれたことから、米離れが著しくなったといわれています。
戦前まで、米の年間消費量は1人160kgでしたが、1985年には半分以下の71kgにまで落ち込んでいます。
これは代わりに、おかずが増え、それまでの焼魚・煮魚・刺身といった魚料理から、卵あるいは鳥・豚・牛といった肉料理へと、比較的カロリーの高い食材が食卓の主役に座るようになったことを意味します。

食生活の西洋化は著しく進むなか、1980年ころの食事は、栄養バランスがよくヘルシーな日本型食生活と言われています。

そこから、40年たった現在では、食の多様化が進み、一般的な食事を提示しにくくなっています。
食事の意味を考える時間が必要そうですね。

 

ひろこ
ひろこ
今回は味付けの慣れについて書いてみました。
主食を食べ過ぎてしまう原因に、ご飯のお供もありますね。ご飯のお供の多くの味付けは、ガツンとインパクトがあるものが多いですね。おかずが無い時代には、主食を食べ勧めるのに必要だったかもしれませんが、おかずの揃っているときは付き合い方を考えたいですね。

【参考文献】
松本仲子, 福田加代子, 栄養学雑誌 42 (4), 241-246, 1984
菊池節子,善方 美千子,坂野 史明,藤本 健四郎,日本調理科学会大会研究発表要旨集 29 (0), 39-, 2017
石毛直道 (1999),喰卓の 風景「食の文化家庭の食事空間」味の素食の文化センタ ー,東 京.P321−409
石毛直道 (1982),食パ ターンの変化と米食「食事 の文明論 」,中公新書 ,東京 .p.7−25
熊倉功夫 (2007),庶 民 の 食 卓 は 一汁三 菜 ,「日本料理の歴史」吉川弘文館 ,東京,p.27−42″
鈴木正成 (1989),ご 飯 食 と健 康 ,「学校給食別冊簡単につくれるおいしいご飯料理 」,全国学校給食協会,P105−119
幸田亮介 (2014), 主食とは何か,「お米が主食でなくなる日」,イースト・プ レス ,東京,P15−50″